タクシー運転手の研修ってどんなことをするの?
タクシー会社に入社すると、乗務を担当する前には約1ヶ月の研修があります。タクシー会社によって研修内容や順番は多少異なりますが、二種免許の取得に始まり、接客の方法、営業のルールなど様々なことを学ぶ必要があります。
研修の全体の流れ
研修は約1ヶ月を通して行い、まずタクシー運転手として業務を行うために必要な二種免許の取得などを行います。続いて、実際にお客様を乗せて運転するときに必要となる電子マネー支払い機器の使い方や接客の技術を学んでいきます。研修について知るうで、まずは全体像を見ていきましょう。各社対応の違いはありますが、ほとんどの会社は以下の内容で新人研修を行います。
1:普通自動車第二種免許の取得
2:地理試験の合格(東京都、神奈川県、大阪府の場合)
3:運転者適性診断
4:接客・法令等の研修(社外研修)
5:接客・法令等の研修(社内研修)
6:教習車を使った実地研修
7:営業所に配属後の研修
二種免許の取得・地理試験の合格
お金をもらって車両にお客様を乗せる行為には二種免許が必要となりますので、どのタクシー会社であっても新人研修として二種免許を取得させます。また、東京都・神奈川県・大阪府といった都市部でタクシー運転手になるためには地理試験に合格することも必須です。
費用に関しては自分で支払うこともありますが、基本的には会社負担です。二種免許や地理試験は難易度が高いことや、会社がお金を払ってくれることを理由に何回か落ちても問題ないと考える方もいるかもしれません。しかし、会社でお金を払ってくれているからこそ、何度も落ちるとペナルティがあることもありますし、評価が下がることもあります。さらに、受かるまでは当然業務に当たることはできませんので、給料にも響いてくるでしょう。タクシー運転手として絶対に必要な資格の二種免許(と地理試験)。いち早く合格するためにも、日々学んだことの予習・復習をしていきましょう。
二種免許や地理試験などについて詳しくはタクシー運転手になる資格を徹底紹介!をご覧ください。
運転者適性診断
独立行政法人自動車事故対策機構(NASVA)にて、適性診断を行います。これはハイヤーやタクシー、バス、トラックなどの運転手を対象として行われるもので、判断のタイミングや動体視力など様々な測定します。ドライバーの性格や安全運転態度、認知・処理機能、視覚機能といった心理面と生理面から個人の特性を把握し、運転のクセを分析します。そのクセに合わせてアドバイスをしていくことで事故防止に役立てるものです。
接客・法令等の研修(社外研修)
各県にタクシーセンターがあり、そこでは新人タクシー運転手などを対象として、運転手の資質や交通安全に対する意識を向上させることを目的とした研修が行われます。新人タクシー運転手を対象とした新規講習では、タクシーの営業活動の基礎となる「法令」、「地理」、「安全」、「接遇」について教わることができます。東京タクシーセンターの研修を例に見ていきましょう。
東京タクシーセンターの研修
東京指定地域内で新たにタクシー運転手になる方は、必ず公益財団法人東京タクシーセンターの新規講習を受けなければなりません。講習は「法令」、「地理」、「安全」、「接遇」、「交通バリアフリー」の科目で、4日間に渡って行われます。また、法令・地理・安全・接遇の4科目においては試験が設けられています。
項目 | 所要時間(※1コマ50分) |
---|---|
法令 | 3コマ |
地理 | 5コマ |
安全 | 3コマ |
接遇 | 5コマ |
交通バリアフリー | 7コマ |
輸送の安全及び利用者の利便の確保に関する試験(法令・安全・接遇科目試験) | 60分 |
輸送の安全及び利用者の利便の確保に関する試験(地理科目試験) | 60分 |
3日目の午後に行われる、輸送の安全及び利用者の利便の確保に関する試験が新規講習の山場となっています。法令・地理・安全・接遇の科目試験がありますが、その中の1つ地理の科目試験こそが先ほどお伝えした地理試験です。
接客・法令等の研修(社内研修)
社内研修には、グループ会社の新入社員が集まって行う研修と、会社ごとに行う研修があります。いずれも実践に即したもので、タクシーセンターで行った内容をより実践に近づけた内容や、電子マネー支払い機器などのタクシー車載器の使い方を学べるものです。
グループ会社の新入社員が集まって行う研修
グループ会社の新入社員が集まって行う研修として、東京無線グループでの研修を例にご紹介します。東京無線グループではお客様に安全で快適なサービスを提供するために、新人タクシー運転手を対象として以下の内容に関して5日間の研修を行います。
■旅客接遇
■模擬タクシーを使用しての実技訓練
■安全輸送と交通事故防止
■運賃メーター器及び乗車券の取り扱い
■タクシー無線と配車
■タクシー関係法令
など。
会社ごとに行う研修
グループ会社の研修の有無にかかわらず、会社に戻るとそれぞれ研修が行われます。タクシーセンターの研修やグループ会社の研修の補足として、現実的に必要になりやすいものを中心に法令やルールなどに関して学びます。
■乗車禁止地区の位置
■営業範囲のルール
■お客様を乗せるときのルール
■無線やメーターの使い方
■高速道路の走行時の注意点
■事故や違反を起こしたときの対応方法
など。
教習車を使った実地研修
ここまでに座学で得た知識を、教習用のタクシーで実践して学びます。教官や他の新人タクシー運転手をお客様に見立て、ロールプレイング方式で研修を行い、お客様が乗車してきたときの挨拶やメーターの使い方、適切なルート選び等ができているかを教官が判断・アドバイスをします。街中を走る際には、乗車禁止地区や右折禁止の交差点などについても確認します。
営業所に配属後の研修
営業所に配属になると、お客様を乗せるようになります。最後の研修はベテランの運転手を助手席に乗せた状態で、、実際にお客様を乗せるというものです。その様子を見たベテランの運転手が接客や道の選び方などのアドバイスをします。配属後の研修は多くても3回。タクシー会社によってはこうした研修を行わず、最初から1人でお客様を乗せています。
研修に関してのQ&A
研修期間はどのくらい?
研修期間は20日~30日程度。ただし、研修は合否が分かれるものもあります。もうお分かりのように二種免許や地理試験には合格しないと先へ進むことができないので、場合によっては1ヶ月以上かかってしまう方もいます。あくまで目安として約1ヶ月になると覚えておいてください。
研修中にも給料はもらえる?
もちろん研修中であっても給料はもらえます。ただし、乗務開始後とは別の賃金形態としているタクシー会社が多く、研修期間中は日当1万円前後としていることがほとんどです。
タクシー会社に入ると、二種免許の取得や地理試験の合格から、タクシー車載器の使い方、お客様への接し方など、様々な研修を受けることになります。実際にお客様を乗せるようになったときに疑問に思うことや困ることは、いくつもあることでしょう。研修では実業務で困らないように指導をしてくれますから、気を抜かずしっかりと研修を受けていきましょう。
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